9月20日読了。


誰も読んだことのないような伝記を書いてみました。伊坂幸太郎



とあるように、ひとりの”王”の伝記小説である。




伊坂作品を手に取るといつも、装丁から目次、奥付まで隅から隅まで、それこそ舐めるようにチェックする(=読む・笑)。

まず、厚さ。今回は長編なのに薄い。
表紙は真白で、トランプのキングのエンボス加工がなされている。通常のキングとは多少違うかもしれない。Kの字の下にボール。キングはバットを持っている。
背表紙はファンタジー小説にありがちな、タイトルと作者名を四角で囲み、バックには仙醍キングスであろう意匠のイラスト。
目次は、漢数字のゼロ歳~23歳までと、そしてまたゼロ歳で終わっているタイトルが横書きで書かれている。




なんだかいつもと違った雰囲気の作品だった。
あとがきにあるように、本人が読みたい物語を自由に書いたとあるが、確かにこれは自由だな、と思った。
けっして軽い作品ではないのに、相変わらずさらさら読めてしまう文章に展開。
3時間くらいで一気に読んでしまった。


各章ごとに語り手が違い、23歳の時にはすべての語り手が集まり、”王”の物語を記している。

”王”になるべく生まれた子が実際に”王”になれたのか、なったのか。

私にはわからなかった。
王になるべく不運を受け入れ、ただひたすらに王を目指す彼の内面をもっと知りたいと思った。
どちらかというとかわいそうだとも思っていた。でも、23歳の最後の文節で救われた気がした。

そして最終章のゼロ歳で、また新たな”王”が生まれるのだ。

と私は解釈した。


すべての希望に満ち溢れている生命の誕生は素晴らしい。
みんなが待っている。

最後の一文にグッときました。


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