君が降る日/島本理生
2009年5月27日 読書恋人・降一を事故で亡くした志保。彼の母親が営む店を手伝う彼女の前に現れたのは、その事故の原因をつくった五十嵐だった。彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていく…。
恋人を亡くしたらいったいどんな世界が待ってるのだろう。
失くす、ではなく、亡くす。
絶対的な別れをどう受け止めるのか。
不安定ながらも静かに時を進めていくことでしか生きられない、残された人たち。
いつもは、どんなにシリアスな小説でも突っ込まずにいられない私も、今度ばかりは息をひそめてただただ読むことしかできなかった。
…重かった。
切ない、よりもただひたすら重かった。
本来ならば、あとの「浅き春の章」の方が未来へ向かっているから明るい印象を受けるべきなのに、前の「長き夜の章」が希望が持てたのはなぜだろう。
どこかで救いが欲しかった。
重く、もやもやとしたまま次の短編に移った私は、森谷くんに救われることになる。
『冬の動物園』はよかった。
最近の島本氏はなんだか重いから、こういうのがあってもいいんじゃないかな。
それとも私が重いのを呼んでるんだろうか…。
だとしたら、あーあ、だ。
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