どこかのレビューに「虐待を受けた子どものけなげに生きる姿…うんぬん」とあったのを読んで、島本理生らしくない、と思ったのと、手に入れてから実際に読むまでの時間が非常にかかった作品。
けどこういうレビューは先に読まないほうがいいね。
全然イメージ違いました。

たしかに虐待というか…帯にあったような「暴力」はあったけど、それ以外の描写が素晴らしかった。

主人公の女の子朔は、12歳であるのに妙に完成されたものの見方をし、でも子どもらしい素直なココロも持ち合わせているので、ページをめくる度に現れる彼女の目から見た情景がやわらかく素直さに溢れていて、暗い事件でさえもさやさやと流してしまうほどの清涼感を与えた。

もちろん起こった事件は重く暗く、12歳のココロを真っ暗にする力を持っていた。それによって彼女は本当の意味での大人への一歩を踏み出したに違いない。
この暴力に対して彼女は復讐を試みる。
そのやりかたが子どもらしくもあり、子どもの純粋さゆえの冷酷さも秘めていて、読後感はあまりよくはなかった。

でもその事件を抜かせば、本当にのびのびとした、12歳の女の子から見た世間や学校や恋愛や家族や季節のお話で、とてもよかった。

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